相続人全員が登記義務者になる必要性

(問題)

 被相続人Aが生前に売却した土地の所有権移転登記が未了である場合において、Aがその財産の全部をBに包括遺贈する旨の遺言をして死亡したときでも、当該土地の所有権移転登記の申請は、Aの相続人全員を登記義務者としてするべきか?

 

(解答)

 包括受遺者は相続人と同一の権利義務を有し(民990)、債務をも承継する。

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 よって、生前処分(生前売買)において、包括受遺者が所有権移転登記義務を承継する(昭56.9.8民三5484号参照)。

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 したがって、本問においても、包括受遺者Bが登記義務を履行すれば足り、他の相続人全員を登記義務者とする必要はない。

 なお、登記義務者が死亡し、相続人がその登記申請義務を履行する場合には、相続人全員が申請人になることが必要となります(昭27.8.23民甲74号)。