持分放棄による移転登記の論理的問題

(問題)

『登記名義がA・Bの共有である不動産につき、持分放棄を原因とするA持分のCへの持分移転登記を申請するには、B持分のCへの持分移転登記を経ている必要がある』とする説がある。下記の記述は、この説の根拠となるか。

 

Q 不動産登記制度は、物権変動の過程を忠実に登記記録に反映することを理想としている。

A 根拠となる

 

Q 登記された権利が絶対的に消滅する場合と、登記された権利が消滅すると同時に他人に原始取得する場合とでは、取扱いを異にすべきである。

A 根拠となるとはいえない(∵本件の説とは、直接関係のない記述)。

 

Q 登記は対抗要件にすぎないので、処分に伴う登記をするか否かは、当事者の任意による。

A 根拠となるとはいえない(∵「登記は対抗要件にすぎない」と考えるのであれば、Cに対抗要件を得させることができれば足りるので、A持分のCへの登記を認めるべきことになる)。

 

Q 登記記録に記載されている事項と形式的に矛盾する登記申請は、認められない。

A 根拠となる

 

Q 登記の推定力は、事実上の推定力にすぎず、登記権利者と登記義務者の共同申請により覆される。

A 根拠となるとはいえない(∵本件の説とは、直接関係のない記述)。